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おばさん社労士の発信基地 きぼうという名の事務所です。

開業してからまる14年「発信する社労士」を目指して「独立独歩」「自主自立」の活動をつづるブログです。

後期高齢者制度による小手先の改革によりボロが出た? 健保組合の解散

今月、加入者57,000人という大きな健康保険組合が解散して政府管掌保険に移行したことが報道されました。

それに伴って国庫負担が年間16億円増えるとの試算が出されました。(新聞記事参照)

わが国は国民皆保険制度を誇っていますが、制度は大きく分けて4つあります。

自営業や無職、企業の健康保険制度に入れない人等が加入する国民健康保険、市町村が運営しています。主に中小企業が加入する政府管掌の健康保険、国が運営しています。公務員等は共済組合、そして前述の健康保険組合です。

健康保険組合の設立の要件は、常時700人以上使用する企業又は、共同設立もできますが、この場合は合計して3000人以上という要件がありますので、必然的に大企業だけということになります。

大きな会社はいわば「自前」で健康保険制度を運営できるのです。

「自前」ですから、原則として国庫補助はありません。

その代わり、加入者から徴収する保険料は政府管掌だと標準報酬月額の一律1000分の82(会社と社員が折半負担)と決められていますが、組合健保の場合は1000分の30~1000分の100までの間で独自に決められることになっています。

ただし、社員の負担が1000分の45を超えた場合は会社側が残り全てを負担します。しかし、たいていの組合健保は当然政府管掌より安い保険料率を設定して、社員の福利厚生の一環としているはずです。

 

その他にも、政府管掌などにはない独自の給付制度を設定することもできます。

加入者は現役世代が中心ですから比較的病気になる率も少なく、財政にも余裕があるというのが今までの通例でした。保険料率や給付内容を独自に決められるという「自前」の良さもあり社員にもメリットがあったはずです。

 

では、何故冒頭の組合健保は解散して政府管掌に移動したのか?

ちなみに、解散については、

①組合会議員の定数の4分の3以上の多数による組合会の議決

②事業の継続の不能

③厚生労働大臣による解散命令 のどれかの理由によりできることになっています。

この4月から発足した高貴高齢者医療制度(※)に対する負担金のまさに「負担」に耐えられないということだそうです。

 

もともと、75歳以上の高齢者については老人保健法があり、組合健保も拠出金を負担していました。また、退職者医療制度という制度により退職した加入者に対する負担もあったのですが、高貴高齢者医療制度では、75歳以上の高齢者分と今までなかった65歳から74歳までの高齢者に対する負担金があり、前年比62%、金額にして58億円にまで増加したとのことです。

もはや「自前」で運営する意味はなくなったと判断したとのことです。

※「後期高齢者」を不愉快に感じる方がいらっしゃるようなので、あえて「高貴」にしました。

この組合の場合、保険料率が1000分の81でもともと高めだったという事情もあったようです。

 この制度の導入により今年度は9割の健保組合が赤字になるとも言われています。

 

報道によりますと、政府管掌の健康保険では、医療給付費の13%、介護給付費やくだんの負担金の16%を国が負担しているそうですから、組合健保が解散して政府管掌に移行すると、国庫負担がどんどん増えることになります。

もともと高齢者に対する国の負担を減らそうと、制度を作ったのに結局国庫負担が増えるんでないかい?

なんて様相を呈してきたようにも見えますが、小手先の改革をしようとしても必ずボロが出て失敗するといういいお手本にならなければよいのですが。

そして、結局保険料率が上がり不利益をこうむるのは社員(国民)なのですよね。どこかで見たような構図がまたも繰り返されるのだなあとため息が出ました。

 

 

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