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おばさん社労士の発信基地 きぼうという名の事務所です。

開業してからまる13年「発信する社労士」を目指して「独立独歩」「自主自立」の活動をつづるブログです。

「罰金」的な懲戒処分としての減給には限りがあり。

「レジ係のパートをしているが、精算時に数千円合わなかったときに、そのレジを受け持った数人の連帯責任として全員の賃金から引かれた」

そんな読者の声が新聞の片隅に掲載されていました。

労働者が仕事で何かのミスをやらかして「罰金」的に給料を減額する場合、使用者が好き勝手にできるのでしょうか。

いいえ、できません。

条件としては就業規則にどういう時にそういう制裁がなされるのか、きちんと明記されかつ労働者側に周知するという手続がなされていること。

さらに、減給する額には1回の額が平均賃金の1日分の半額まで、いくつかの事案が重なった場合の総額は、1賃金支払期における賃金総額(現実に支払われる賃金)の10分の1までと労働基準法で規定があります。(91条)

使用者側がこの規定を知っていてやっていたとしたら、結構うまい方法ということになります。1人からだと多分「1日分の半額」というところにひっかかるかもしれないですから。数人からだと1人分が少なくなってこの「1日分の半額」を超えないですみますものね。

この投稿者は以前別の店で始末書をとられたことはあったけれど、いきなり減給は初めての経験だそうです。釈然としないけれど雇われの立場では言いづらいとも書いています。

 

労働基準法では常時10人以上(パート、アルバイト等含む)の労働者を使用する事業所に就業規則の作成届出を義務づけると同時に、記載内容も規定しています(89条)

その中で、制裁についても会社でもし定めるのなら記載しなければいけない事項とされています。

ですから、会社としては社員に減給にしても降格にしても何らかの制裁、いわゆる懲戒処分を課すためには、就業規則にその理由等記載してきちんと労働者に周知していなければ、勝手に処分をすることはできません。

判例でも「合理的な内容で労働者に周知していることが効力発生の要件」とされていて、今年新設された労働契約法の条文にもその判例法理が盛り込まれています。

 

投稿者の書きぶりだと、このお店はそういう手続は一切していないようですね。

また、懲戒処分というのは軽いものから始めて重いものに移行していくというのが通常のやり方です。「減給」というのは労働者にとっては結構重大なことですから、事案によりけりではありますが、この場合はいきなりやるべき処分ではないと思います。

投稿者の以前の職場のように最初は始末書程度で、少しも改善されないときには次に重い処分をするべきだと思います。

労働者側としては、何らかの懲戒処分をされた時には、就業規則等前もって知らされていればよいですが、そうでない時には、

「就業規則で決まっているのですか?見せてください」

ぐらい言ってもいいと思いますが、

やはり、職場で波風たてたくないというのが本音でしょうからなかなか難しいのでしょうね。

あまりよろしくない経営者であるというのは確かなことでしょう。

 

なお、よく言われる「ノーワーク・ノーペイ」は実際に働いていないことに対して給料を払わなくてよいという意味で、制裁による減給とは、実際に働いているのにその分の賃金が全部又は一部支払われない状態を言います。

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コメント


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暗澹たる思いです

私も今朝この記事を読んで、いったいこの国はどこまでひどくなっていくのかと思いました。現在の雇用情勢をいいことに、好き勝手やってるとしか思えません。筋を通そうにも自分自身の生活もあり、結局従業員が一歩も二歩も引き下がらなければならないこの状況を打破する手だてはないのでしょうか。

中高年社労士の雛 | URL | 2008年08月29日(Fri)14:21 [EDIT]


労働者が経営者を選ぶ時代が来る?

中高年社労士の雛さん
こんにちは。

私は、コンプライアンス意識が低く労働者から搾取することだけを考えているような経営者は、長期的には淘汰されると思います。
少子化は当分解消されそうになく、近い将来人材不足になることは必至だからです。

私のブログに来てくださる方の「サーチワード」を見ると、労働条件について法律的にはどうなっているんだろうと考えて来てくださるような方が多いように思います。

何となく納得いかなくても、その根拠がわからないと権利の主張もできませんものね。

職場で声を上げることはなかなか難しいと思いますが、使用者のコンプライアンス意識について判断することは可能です。ダメ経営者は結局労働者に選別されることになるでしょう。

これからも当ブログで有意義な情報をお届けすることが、今の私にできることかなと思います。

自分にできることを少しづつやっていきましょう!

おばさん社労士 | URL | 2008年08月29日(Fri)16:55 [EDIT]