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おばさん社労士の発信基地 きぼうという名の事務所です。

開業してからまる14年「発信する社労士」を目指して「独立独歩」「自主自立」の活動をつづるブログです。

難しい「初診日」の拡大解釈

学生は国民年金に任意加入でよかった時代に障害を負い、現在なら納付要件を充たしていれば障害基礎年金を受けられる案件なのに、無年金になっている人たちの訴訟の件については以前過去記事にしました。(参照)

原告たちの主張は斥けられましたが、それがきっかけとなり救済措置として特別障害給付金制度が発足したことは記事にあるとおりです。

今朝の朝日新聞には、任意加入時代に精神障害と診断を受けたため、その障害特別給付金を受け取ってはいるけれど、病気を発症したのは20歳前なので、国民年金の「20歳前障害」にあたり、特別給付金ではなく障害基礎年金を受給できるはずだとの訴訟があり、 それについての最高裁判決が来月10日に出るとの記事がありました。


「20歳前障害による障害基礎年金」というのは、国民年金の被保険者でない20歳前の人が20歳に達した時、又は、それ以後の障害認定日(注1)において、障害等級に該当し、その障害のもととなる病気の初診日(初めて医師にかかった日)が20歳前にある人に対して支給される障害年金です。

生まれつきの障害がある方や、20歳になる前に何らかの事故や傷病で重い障害を負った方というようなイメージですね。

 

 保険料を全然払っていないのに、年金を受給できるということで、通常の障害年金にはない所得制限や国内居住要件などの縛りがあります。

20歳前でも会社員等になり厚生年金の被保険者等(国民年金の第2号被保険者)になった後に初診日がある障害については、通常の障害年金が受給できます。

(注1)初診日より起算して1年6ヶ月経過した日、又はその期間内に傷病が治り障害状態が固定化した日

 

新聞記事になっていた事例というのは、明らかに20歳前に精神障害を発症しているのに、初診日が20歳を過ぎていたために、「20歳前障害」に該当しないと判断され、かつ、学生で任意加入の時代で加入していなかったため、障害基礎年金の受給資格がなく、特別給付金を受けている人の話でした。

特別給付金ですと、最大でも月額5万円ですので、障害基礎年金(月額1級だと 約82,000円、2級だと66,000円)とはやはり開きがあります。

 

精神障害の場合、どうしても受診が遅れ発症の時期と必ずしも初診日が一致しないということで問題となるわけです。

「初診日」要件の厳格な適用は、精神障害の特殊性を理解していないとの主張が原告側にあるようです。

原告側は、生活保護でカバーすればよいという意見もあるが、親とともに生活している場合も多く、必ずしも生活保護を受けられないし、使い道などにも制限のある生活保護と年金とでは違うと語っています。

 

厳格に「初診日」を適用すると、障害のある人の生活を支え自立を助けるという本来の法の趣旨から外れるという意見もあり、初診日の拡大解釈について最高裁の判断が待たれるところです。

定型的な書類をそろえれば受理される老齢年金などと違って、障害年金はなかなか難しいというのが大方の社労士の意見です。

症状が様々ですし、特に精神の障害は専門家によっても意見が割れたりする場合もあるということで、判断が難しいのだと思います。

私も普段、労働法を中心に勉強しているのですが、最近障害年金についての書籍を購入して少しづつ読んでいます。

最高裁の判決に注目していきたいと思います。

〔管理人注〕10月10日最高裁の判決により原告敗訴が確定しました。一審では初診日の拡大解釈が認められたのですが、高裁で一件が否定され最高裁の判断が待たれていたものです。

初診日の拡大解釈が認められると、全国で数十万人の人が影響を受けるとも言われていたということですし、特別障害給付金制度も整ったというようなことも影響したのでしょうか。

判決が確定しましたので、この件については13日にもう一度記事を書きたいと思います。

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