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おばさん社労士の発信基地 きぼうという名の事務所です。

開業してからまる13年「発信する社労士」を目指して「独立独歩」「自主自立」の活動をつづるブログです。

「国民皆年金」の崩壊? 負担は誰のため?

今月19日の記事で社保庁の報酬月額改ざんの記事を書きました。(参照)

それに関連して読者の方から、社会保険料の負担を逃れている企業のことや、加入しているがために負担が大変な企業のことなどについて、コメントをいただき私も私見を交えて簡単なお返事をしました。

先週土曜日の朝日新聞には、社員と雇用契約をしないで請負契約をして「合法的」に負担を逃れようとする企業のことや、さらに一歩進んで労使合意の上で、「個人事業主の集合体」のような会社にして、やはり、合法的に負担を逃れている会社の話が掲載されていました。

前者については、以前から問題になっていたケースで、労働時間の管理や業務内容に使用従属性があり、実態は労働者性が強く「雇用契約」であるはずなのに、紙の上だけは「請負契約」だとして労働保険、社会保険などに加入せず、労災が起きた時などにも問題となるケースです。

何度か過去記事でも書いていますので(参照)、そちらを見ていただくとして、私が「へぇー」と考えてしまったのは後者のケースです。

 

ある広告制作会社では、「スタッフ」は会社の名刺は使うが個人事業主として税務署に届出ていて、原則自力で仕事をとり働き方も自分で決めているため、会社からの報酬も「業務委託費」ということになっている。

「個人事業主」であるため、社会保険には加入していないが、家賃や光熱費の一部などを経費として計上でき、源泉徴収された所得税の大半が確定申告により戻る。

その分で民間の共済保険や貯蓄に回す。「自分の身は自分で守るのが一番」ということです。

この会社の「社員」は創業メンバーの3人だけだそうです。

 

実は、会社側は2年前、フリーだと収入の浮き沈みが激しくなるので全員を社員にして社会保険に入れようかと悩んでいたそうです。

しかし、社会保険庁の不祥事が次々と出てきて、信用できなくなったために前述のような方式をとることにしたということです。

傷病時の生活費を補うために民間保険にも加入して、会社も保険料を負担しているということです。

「記録の不備で消えてしまうような公的年金より民間の方が安心できる」との談話が載っていました。

 

このように負担がきついと感じる会社ばかりでなく、財力がありながら「信用できない」として民間を選ぶ会社があるということは、もう既に社会保障制度の崩壊の始まりだと思いました。

気持ちはわかりますよね。

社会保険庁の「悪行」の数々は本当にうんざりしますものね。

でも、ちょっと待ってください。

今の年金制度はもともと支払った「見返り」として年金が受け取れる制度にはなっていません。

現在支払っている保険料は年金を受給している世代、あるいは不幸にして障害を負ったり、働き手を亡くしたりした人たちへ回されています。

親や祖父母世代への仕送りとして、また、より困っている人たちへの支援として使われているのです。

「国民の共同連帯」というすばらしい理念があるのですが・・・。

この会社の「個人事業主」の方々は国民年金保険料も支払っていないのでしょうか。

それについては記事に書かれていませんが、民間保険に加入したり貯蓄に回しているという話だと意図的に支払っていない方もいるのかもしれません。

万が一重い障害を負った時に民間だけの保険で国を上回るだけの保障が得られるか、ちょっと疑問です。やはり、「腐っても鯛」的な要素があると思うのですが。

 

自分たちへの見返りが期待できないからと、そこから出ていってしまうというのはどうなのだろうと思う反面、社会保険庁のあまりのひどさにそれを責める気持ちも持てないという、私としては複雑な心境になりました。

本来は、選挙などの機会をとらえてしっかりと国民が意思表示していくべきだと思うのですが、政治家にも期待できないとなると、自分の身を守ることにのみエネルギーを使った方が利口だということになるのでしょうか。

 

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