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おばさん社労士の発信基地 きぼうという名の事務所です。

開業してからまる13年「発信する社労士」を目指して「独立独歩」「自主自立」の活動をつづるブログです。

「ない方がまし」と言われる雇用保険

労働者が失業した時に生活を助けるための雇用保険が少しも役にたっていない、というような話が先週朝日新聞に掲載されていました。

昨年10月1日より改正され、受給できる要件が厳しくなったからです。

それまで週30時間以上働く一般の労働者については、離職の日以前1年間に各月14日以上、通算して6ヶ月被保険者期間があれば受給できたのに、改正により原則として各月11日以上通算して12ヶ月の被保険者期間が必要となったからです。

過去記事にも書いたことのある倒産、解雇などによる「特定受給資格者」(過去記事参照)の場合は、各月11日以上、通算して6ヶ月の被保険者期間があれば受給できます。

「特定受給資格者」とは自分でやめたくてやめたわけではなく、「やむを得ず離職せざるを得なかった人」という意味合いがあります。

ですから、広義で自己都合退職でも、妊娠、出産、育児、介護、転勤による通勤の困難、心身の障害、視力、聴力等の減退、残業が多過ぎる、セクハラ、パワハラ、希望退職の募集に応じた、などの理由でやめた人も含まれます。(ハローワークHP参照)

新聞に掲載されていた派遣社員の方も、9ヶ月間運送会社に派遣されて働いていたのに、派遣先の会社が正社員を雇ったため突然失職してしまいました。

事実上解雇に近い「会社都合による退職」と思われますから、「特定受給資格者」のはずですが、基本手当て(いわゆる失業保険)を受給する手続の際提出する離職票に「自己都合退職」と書かれたため、12ヶ月の要件を充たさず雇用保険の適用外とされてしまいました。

会社側としては解雇者を出すと助成金をもらえなくなるなどの不都合があり、解雇者を出したくないという事情があったようです。

 

男性は個人で加入できる労働組合に入り、会社と団体交渉して「会社都合」を認めさせたそうですが、「保険料を払ったのに、失業手当をもらえないなんて、いざというとき役に立たないのなら、何もない方がましだ」と語っています。

もっともな言い分だと思います。失業してもある一定期間は大丈夫だという安心感のために保険料を負担するわけですから。

 

通常の自己都合退職の場合、手続後7日間の待機期間とその後3ヶ月の制限期間があり、手当ての支給は3ヶ月余り後からですが、「特定受給資格者」の場合は7日間の待機期間だけで制限期間がありませんので、その点でも有利になっています。

前述したように「自己都合退職」であっても、やめざるを得ない理由がある場合には「特定受給資格者」となる場合もありますので、該当する場合には、手続の際にきちんと理由を話してください。

証拠になるようなものがあれば話がスムーズにいくと思いますし、新聞の男性のように明らかに会社都合なのに会社が認めないというような場合には、労働局の労働相談を利用したり労組等の支援を受けるなどして、正当な権利を主張していただきたいと思います。

 

新聞には頑張って働いているのに、「週20時間以上、継続して1年以上の雇用見込みがある」とする加入要件を充たすことができないため、雇用保険に加入できず不安な思いをしている旅行添乗員の方などの話も掲載されていました。

業界の慣行で旅行ごとに派遣会社と契約するため、派遣社員として働く添乗員については「1年以上の雇用継続の見込み」がないとされてしまうのです。

新聞に掲載されていた方は、正社員同様に月25日前後の勤務を続けてきたということで、同僚とともにハローワークに加入資格の確認をしたところ、3ヵ月後に加入手続きをとるよう会社に指導があったそうです。

低価格競争が激しく会社も保険料負担が厳しいという事情もあるようですが、だからといって一番弱い立場の労働者にしわ寄せがいくのは、やはり改めるべきことだと思います。

 

正当な権利なら、本来は黙っていてもそこに存在しているはずなのでしょうが、結局、声を出して意思を持って獲得しようとしなければならないものなのだろうかと、考えてしまいました。

雇用のセーフティネットについても、これだけ雇用形態が多様化している現状に追いついていないのではないかという思いを持ちました。

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