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おばさん社労士の発信基地 きぼうという名の事務所です。

開業してからまる13年「発信する社労士」を目指して「独立独歩」「自主自立」の活動をつづるブログです。

「国民皆保険」じゃないこの国 無保険の子3万人

親が国民健康保険の保険料を滞納しているために、保険を使えない中学生以下の子供が全国で3万人余りいることが、厚生労働省の調査で明らかになりました。

普通、会社勤めなどをしていると職場で協会けんぽ管掌の健康保険に加入したり、企業独自の健康保険組合の健康保険に加入します。

その人の家族も収入要件などが合えば被扶養者としてその健康保険に加入します。

保険料は給料天引き、会社と折半負担です。

納付義務は会社にありますから、万が一会社が納付しなくても、社員には責任がないこととして保険が使えないということはありません。

ですから、無保険の問題は国民健康保険にに生じるのです。

国民健康保険は前述の職場の健康保険に加入できない、自営業者や小企業などで加入義務を怠っているような会社の社員、労働時間が少ないなどの理由で職場の健康保険に加入できない人、リタイアした年金暮らしの人(75歳以上は高貴高齢者医療制度へ加入)など、様々な人が加入することになります。

「保険者」と呼ばれる運営主体は各市町村です。(現在新規設立は認められていませんが、同業者が一定の人数を集め都道府県知事の認可を受けて運営する国民健康保険組合も少数あります。)

納付義務者は世帯主ですが、健康保険のように被扶養者という概念はなく、世帯の構成員で市町村に住所のある人は全て加入者となります(生活保護世帯等は除く)。

 

さて、保険料を滞納した場合はどうなるか?

1年以上滞納すると被保険者証を返還させられ、被保険者資格証明書が交付されます。

資格証明書を医療機関に提示すると自由診療ではなく、保険診療扱いにはなりますが、医療費は全額自己負担しなければなりません。

市町村により扱いが違うらしいですが、領収書を市町村窓口で提示すれば10割負担したうちの保険負担分(7~8割)が滞納している保険料に充当されます。

しかし、実際には生活が苦しく保険料を滞納するわけですから、10割負担となった時点で医療機関に行くことができなくなるというのが現状でしょう。

 

資格証明書の交付の判断は自治体に任されているということで、子供のいる世帯は大目に見るなどということをしている自治体もあるようです。

厚生労働省は、子供が治療を受ける必要がある場合は有効期限が1ヶ月程度の保険証を交付するよう、自治体に求める方針ということですが、小さな子供が具合が悪くても医者に見せられない親の気持ちはどんなに切ないかなあと思います。

 

ここまで書いてきて、昔読んで涙した本(『洟をたらした神 吉野せい作品集』)を思い出しました。

貧しい開拓農民の母親が生後1歳にも満たない娘が、風邪をひいたらしく熱を出し咳をしていたときに、貧しさゆえに医者にかかるのをためらっているうち、容態が悪化して悩みぬいたあげく医者に見せたときにはもう手遅れだったというような内容の本です。

肺炎を起こし短い一生を終えるのです。

著者の実体験をみずみずしい文章でつづった作品集で、他にも様々な体験が描かれています。著者は若き日の農作業に明け暮れる貧しい生活の中で、折々の心情をノートに書き溜めていました。80歳を過ぎてから発表して当時話題となりました。

自分もちょうど幼い子供の子育て中だった頃で、貧しさの中で懸命に働きながら、一生懸命わが子に愛情を注いだ著者に感銘を受けました。

 

でも、それって戦前(昭和初期から20年ごろまで)の話なんですよ。

その頃とは比べ物にならないぐらい豊かになったこの国で、同じようなことが起こっているなんて・・・。

せめて、中学卒業するぐらいまでの子供の医療費なんて、国が責任を持って無料にするのが当たり前と私は思うのですが、何故、今までそれがなされなかったのか。

この国の政治家たちが、票になりそうな世代ばかりに目を向けていたからなのかなあと、考えてしまいました。

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