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おばさん社労士の発信基地 きぼうという名の事務所です。

開業してからまる13年「発信する社労士」を目指して「独立独歩」「自主自立」の活動をつづるブログです。

社労士の3号業務と弁護士法の関係

先達て、ある先輩社労士のお話を聞く機会があったのですが、

「顧問先でちょっとした労使トラブルを収めることはしょっちゅうあるが、それが弁護士法違反の可能性があるなんて連中(社労士)がいる」

と、ちょっと憤慨しているという内容なのです。

恥ずかしながら、私は弁護士法については不勉強で、弁護士法のどこに抵触するのかなと事務所へ帰ってから六法を見てみました。

どうやら、弁護士法72条のことを言っているのだなということがわかりました。

弁護士法に規定される弁護士の職務というのは、およそ法律に関してはオールマイティと理解してよいと思います。

弁護士であるだけで弁理士、税理士の事務ができますし、司法書士、社労士、行政書士の資格も与えられます。

士業でできないのは公認会計士と土地家屋調査士です。

 

さて、弁護士法72条というのは、弁護士以外の者が報酬を得る目的で弁護士がするべき法律事務を取り扱ったり、またそれらの周旋をすることを禁じています。

周旋というのは、仲を取り持つというようなことですね。

弁護士を探している人にちょっと知り合いの弁護士を紹介してあげて、謝礼をもらった程度のことは許されますが、積極的に職業として弁護士をどんどん紹介して報酬を得ることを目的としてしまうとアウトということだと思います。

そんな規定があったとは知りませんでした。

 

弁護士法では職務について、「訴訟事件、非訟事件及び審査請求、異議申立て、再審査請求等、行政庁に対する不服申立事件に関する行為その他一般の法律事務」と規定しています。

この「一般の法律事務」というところがなかなかくせ者ですね。

ネットでいろいろ検索してみましたが、京都弁護士会の見解では「一般の法律事務」には、当然法律相談も含むとしています。

もし、誤った法律相談が行われれば行使すべき権利も行使できないというわけですね。従って、弁護士以外の者が報酬を得る目的で法律相談を行うのは違法とします。ただし、隣接する士業がその専門業務に付随してその限度で法律的な相談を行うことは法72条が許容するところと考えてよいとしています。

 

京都弁護士会の見解を見るまでもなく、72条では但し書きがあり、

「この法律又は他の法律に別段の定めのある場合は、この限りではない」とありますから、当然、社労士が社会保険労務士法に定められた職務の範囲内の法律的な相談をすることは許されると私は考えます。

社会保険労務士法に規定されている社労士の職務の1つとして、

「事業における労務管理その他の労働に関する事項及び労働社会保険諸法令に基づく社会保険に関する事項について相談に応じ、又は指導すること」(社会保険労務士法第2条第1項第3号)

とあり、私たちは通称3号業務と呼んでいます。

職場のプチトラブルを労働関係諸法令に基づいて相談、指導の上丸く収めるのはまさに社労士の職務であり、弁護士法72条違反とは考えられないというのが私の結論です。

 

ただし、トラブルがかなり大きくなり事件性を帯びた時にはどうなるか?

私は、あくまでも社会保険労務士法にある「事業における労務管理その他の労働に関する事項」の範囲内だと思いますが、事件性が強くなると一般的な「指導、相談」とは別だとして弁護士法72条に抵触するという解釈も法律事務を独占したい弁護士業界からは出てきそうですね。

でも、労使トラブルというと一般的な民法上のトラブルと違い、労働法関係の法令、労働基準法、労働安全衛生法、労働者災害補償保険法、男女雇用機会均等法、育児介護休業法、最低賃金法などの他に雇用保険や健康保険関係、時には年金などもからむわけですから、それらを正確にカバーできる弁護士というのは、ごくごく少数なのではないかと思います。

 

そうなると、国民にとっては法律事務だからと言って、なんでもかんでも弁護士に相談というのはむしろより良い結論を得られるかどうかは疑問ということになってくると思います。

その辺のところを社労士会はもっとアピールするべきだと思いますが、前述の先輩の話の様子だと、「弁護士法72条」にかなりびびっている風ですね。

また、労働者が労働局にあっせんを申請した場合、事業主とは別に労働者から個別に相談を受けていたような場合には、社会保険労務士法第22条第2項第1号により、

「相手方の協議を受けて賛助し、又はその依頼を承諾した事件」ということになり、いわゆる「双方代理」に関わってきて、顧問先企業であっても企業の代理人とはなれないのです。特定社労士制度もなかなか窮屈です。

職場内のプチトラブルは「プチ」のうちにいかに丸く収めるか、そこに社労士の真骨頂があるということになるのだと思います。

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コメント


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この「相手方の協議を受けて賛助し、又はその依頼を承諾した云々」というところなど法文の独特の言い回しがあると、私のような文学部上がりの人間には意味するところはわかっても、なかなかなじめないことがあります。受験中も、法令文の日本語として美しくない表現方法には苦労させられました。

中高年社労士の雛 | URL | 2008年11月19日(Wed)17:22 [EDIT]


中高年社労士の雛さん
こんばんは。

法律系の文章は確かに判例なんか「悪文」が多いですね。
何もかもしっかり言おうとして、かえってわけがわからなくなるという感じですね。

だから、法律条文一つにしても学説、判例などいろいろな解釈が出てくるんですね。

確かに文学部で見慣れた文章とは随分違うのでしょうね。
そういえば、首相という最高位の政治家の漢字の読み間違いなどが話題になるのですから、「文学」という学問も随分遠くなったような気がしますね。

おばさん社労士 | URL | 2008年11月19日(Wed)18:46 [EDIT]