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おばさん社労士の発信基地 きぼうという名の事務所です。

開業してからまる13年「発信する社労士」を目指して「独立独歩」「自主自立」の活動をつづるブログです。

労働基準法再読(3)賃金の5原則

週に一度は労働基準法について書くということで、今回は3回目です。

(1)は簡単な歴史について(参照)、(2)は罰則について(参照)と書いてきましたが、今日は労働契約の重要な部分である賃金についての規定を見てみたいと思います。

賃金とは使用者が労働者が働いたことについて支払う対価のことを言います。

民法では、先取り特権(会社が倒産したときなどに他の債権者に優先して弁済を受けることができる権利)が与えられて保護されていますが、労働基準法でもいくつかの保護規定があります。

男女同一賃金の原則(4条)、書面による賃金の明示(15条)、損害賠償の予約の禁止(16条)、賃金と前借金の相殺の禁止(17条)、強制預金の禁止(18条)、死亡・退職時の賃金支払(23条)、賃金支払の5原則(24条)、非常時払い(25条)、休業手当て(26条)、その他、割増賃金や賃金台帳の作成まで、いろいろあります。

今日は、支払の基本である「賃金支払5原則」についてみてみましょう。

 

社労士や受験生なら「基本のキ」とも言える原則ですが、一般には案外知られていないのではないでしょうか。

賃金は、①通貨で、②直接、③全額を、④毎月1回以上、⑤一定期日に支払うということが規定されています。

①は小切手や現物での支払いを禁止したもので、現在一般的になっている銀行振り込みについては、個別に労働者の同意を得て行わなければならないことになっています。

ただし、労働協約(使用者と労働組合の代表が協議したことを書面にまとめたもの)があれば、通勤定期券、住宅供与などについて現物での支払いが認められます。労働協約は、労働組合がない会社は関係ありません。

 また、退職金については、労働者の同意があれば小切手、郵便為替などの支払が認められます。

 

②の直接払いの原則は中間搾取を禁止して、労働者本人にきちんと賃金が渡り生活費を確保するための規定です。労働者が休業中に家族が代わりに受け取るような「使者」としての受け取りは認められます。

③の全額払いも労働者の生活費である賃金がきちんと本人に渡るように配慮したものです。例外としては法令に定めがある場合と、労使協定のある場合には控除できることになっています。

法令で控除できるのは、所得税、雇用保険料、社会保険料等です。

労使協定で控除するものは、組合費や社内販売の代金などが一般的なものです。

 

④の毎月1回以上という原則がありますから、たとえ年俸制であっても月に1回づつに分けて支払わなければなりません。

⑤の一定期日については、一般的には25日というふうに日にちを特定していますが、「末日払い」、週休制の「月曜日支払」というようにその日が固定的に特定することができればよいとされます。ですから、「毎月第2土曜日」なとどして、月のうち7日の範囲内で動いてしまうような期日は認められません。

 

以上の原則の中で比較的問題となるのは、③の全額払いのところでしょうか。

例えば、何かのミスで過払いとなった賃金を毎月少しづつ差し引いて精算するというようなやり方が許されるでしょうか。

その時期、方法、金額などからみて労働者の生活の安定を害さない限りは許されるとした判例があります。(最判昭44.12.18福島県教組事件)

賃金以外の例えば労働者の使い込んだお金の返済などについて、労働者の同意により賃金からの相殺が行われる場合があります。これについても認めた判例(最判平2.11.26日新製鋼事件)もあれば、原則どおり労使協定を結ぶべきとした説(菅野和夫 労働法第七版補正二版P214)もあり、難しいところです。

残業代をきちんと支払わないなんていうのも、当然働いた分を全額支払っていないわけですから、全額払い違反ということになります。

 

労働者にとって大事なことは賃金明細書をよく見ること、そして、ちゃんととっておくことでしょうか。疑問がある場合には、会社にちゃんと確認するということも大切だと思います。

後々の何らかのトラブルの防止の自衛策となるでしょう。

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