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おばさん社労士の発信基地 きぼうという名の事務所です。

開業してからまる13年「発信する社労士」を目指して「独立独歩」「自主自立」の活動をつづるブログです。

職場における「髪型の自由」はどこまで?(2)

22日の記事で髪型に対する憲法判断に関連して職場の髪型の自由について書きました。(参照)

その時にあまり長くなってもと書かなかったことなど、今日ちょっと補足的に書いてみたいと思います。

過去記事にある判例は私立高校対生徒という私人間(民間人対民間人)の憲法効力について言及されたものですが、相手が公立学校となるとどうでしょうか。

私人間ではなくなり、公権力による個人の人権圧迫を防ぐという憲法の目的の範囲内の事案になってきます。

私の持っている「憲法判例百選」には熊本地裁の判決が掲載されています。(熊本地裁判昭和60.11.13)

熊本県下の町立中学校の生徒と両親が男子生徒に対する丸刈りを強制する校則について、憲法14条、31条、21条(注1)違反であり、又、校長が裁量権の範囲を逸脱しているとして、町と校長、に対して校則の無効確認を請求した事件です。

注1. 憲法第14条 ①すぺて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的、又は社会的関係において、差別されない。以下略

第31条 何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命もしくは自由を奪われ、又はその他の刑罰を科せられない。

第21条 集会、結社及び言論、出版その他の一切の表現の自由は、これを保障する。以下略

 

原告側は①入学した中学校により髪型の規制があったり、なかったりは不公平である。 ②丸刈りが男子だけに強制されるのは性別による差別である。 ③従わない場合に強制的に髪の毛を切るなども憲法違反である。 ④髪型は個人の表現の自由のひとつであるから、規制されるべきではない。

というような主張をしたということだと思いますが、判決ではことごとく斥けられています。①については、校則は各中学校で独自に判断するものであり差別的扱いを受けたとしても合理的な差別である。

②については、男性と女性は髪形に異なる慣習があり、丸刈りについては男子にのみその習慣があることは公知の事実だから、性別により差別しても合理的な差別である。

③については、校則には従わなかった場合の規定がないから前提を欠く。

④については、髪型が思想等の表現であるとは特殊な場合を除き、みることはできない。中学生においては髪型が思想等の表現であると見られる場合は極めて稀有。

 

裁量権の逸脱についても、校長は教育の実現のために包括的権能があるとして、かなり広い範囲の裁量を認めて社会通念上合理的と認められる範囲ならよいとしています。

本件についても、非行化の防止、清潔さの維持、質実剛健の気風の養成、整髪による遅刻、帽子をかぶらなくなる、ヘルメットを着用しなくなる、などの理由が教育目的にかなうとしています。

また、丸刈りは男子生徒の髪型の1つとして社会的に承認され、特異な髪型とは言えないとしてこの校則が合理的と認めています。

裁判所が認める「思想を表現する特異な髪形」って、どんなのかなあと考えてもちょっと思い浮かびませんが、髪型の自由については、過去記事にあるように「憲法13条」(個人の尊重についての規定)の問題とするのが学説の趨勢です。

 

さて、職場の髪型については、過去記事で「茶髪ぐらいいいと思ったけど、モヒカンになるとやはりまずいかな」というようなコメントをいただきました。

髪型は一切自由ですとして、オフィスに茶髪、金髪、当たり前、モヒカンはあるわ、パンチパーマはあるわ、となったら、美容業界やクリエーターが集まる広告業界などは別として、「どうなってんの?この会社」となりそうですね。

やはり、何事も常識の範囲で判断するということでしょうが、常識も時代とともに変わりますからなかなか難しいところです。

過去記事にしたように、就業規則等で社内的な規定を作り、社員に知らせて共通の認識のもとに働くというのがよいのだと思います。

 〔管理人注〕この記事をアップした後で、そういえば以前に社内の身だしなみについての記事を書いたことを思い出しました。ある本を参考に茶髪についての判例なども書いてあります。興味のある方は過去記事をご覧ください。(参照)

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