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おばさん社労士の発信基地 きぼうという名の事務所です。

開業してからまる14年「発信する社労士」を目指して「独立独歩」「自主自立」の活動をつづるブログです。

病気と仕事の共存はできないのか?

先週、新聞の片隅に掲載された読者の投稿が何となくひっかかっています。

こういう場合はどうしたらいいのかなあと考えてしまったからです。

投書の内容は以下のようなものです。

小さな小売店に20年以上勤めてきた女性が病気になり、手術をして1ヶ月で職場復帰したけれど、今後月2回の通院が必要だと社長に告げたら、

「病気の人は要らないからやめて」

「平日に休むならパートになって」と言われたそうです。

1万5千円の手当ても削られてしまった。

母子家庭なので仕事を失うわけにはいかない。普通に仕事をしているのに悔しい。

というような内容です。

「小さな小売店」とあるので、就業規則などもないのでしょうか。

となると、この「労働契約」については個別に交わした契約内容に根拠を求めることになります。

まず、使用者側の一存だけで勝手に労働契約の内容を変えることはできません。労使双方の合意がなければ労働条件を変更することはできないのです。

民法的にも、また、昨年3月から施行されている労働契約法的にも違法です。(注1)

注1. 労働契約法第8条 労働者及び使用者は、その合意により、労働契約の内容である労働条件を変更することができる。

ですから、今まで、ずっと正規社員として働いてきたのですから、「正社員からパートになる」というのは労働者の合意なくしてはできません。

 

1万5千円の手当てを減らされたというのはどうでしょうか。

労働契約というのは、労働者が労働をしてそれに見合った対価を使用者が払うという契約です。(民法623条)

これを根拠に「ノーワーク、ノーペイ」(働かない部分に対して賃金は払わなくてよい)ということが労働契約の原則となっています。

この手当てがどういう性質のものなのかよくわかりませんが、もし、決められた所定の労働日数を働いたことにより支払われるものだとしたら、投書者の女性は、これから月2回の通院により、その分労働の提供ができなくなりますから、それを引くということであれば、理屈は通らなくもないですね。

 

「病気の人は要らないからやめて」

これはどうでしょうか。

「解雇」という話ですから、「客観的に合理的で、社会通念上相当と認められる」理由がないと解雇はできないという規制がまずあります。

病気になって全く仕事ができずずっと会社を休んでいるというような場合、労働契約で約束した労務の提供ができない状態であり、解雇理由にはなるでしょう。

しかし、解雇の理由については、労働契約を結ぶ時点での書面での明示事項ですから、「病気で正常な労務の提供ができない時」が解雇理由として最初にきちんと示されていなければ、それを理由に解雇しようとしても、合理的な解雇であるとされるかどうか、異論のあるところだと思います。

まして、投書者は職場復帰して普通に働いているそうですから、解雇とする正当な理由があるとは思えません。

これらについて労使で話し合う余地はありそうです。

 

でも、この人は20年も勤めてきたとありますので、使用者側に法律以前に人間としての同情心や優しさというものがないのかなあと気になります。

それとも、この投書者は前々から使用者によく思われていなくてこれを機会に使用者側が斬り捨てようとしているなんて裏事情があるんだろうか。

などといろいろ想像をめぐらせてみますが、労働者の投書で使用者側の言い分は書かれていないので、よくわかりません。

以前過去記事にも書いたことがありますが(過去記事参照)、大病をすると案外様々なことを考え人間的にも成長するものです。

人生に病気はつきものだし、病気とは言っても職場復帰している人を「人材」としてうまく使うというのも使用者としての才覚だと私は思うのですが、小さな小売店ではそれどころではないのでしょうか。

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