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おばさん社労士の発信基地 きぼうという名の事務所です。

開業してからまる14年「発信する社労士」を目指して「独立独歩」「自主自立」の活動をつづるブログです。

労働基準法再読(5)「人たるに値する生活」

すっかりご無沙汰の労働基準法再読ですが、読者の方の評判は意外と?良いのです。

やはり、労働基準法というのはあるのは知ってるけれど中身は知らないという人が多いのだと思います。

ということで、今日は基本理念が書かれている第1条を見てみようと思います。

第1条 労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければならない。

     ②この法律で定める労働条件の基準は最低のものであるから、労働関係の当事者は、この基準を理由

      として労働条件を低下させてはならないことはもとより、その向上をを図るよう努めなければならない。

以上が労働基準法の第1章 総則ということで冒頭に書かれています。

本来対等であるべき「契約関係」ですが、どうしても「雇い、雇われ」という関係の中で弱い立場になってしまう労働者の労働条件を保障することを宣明したものだという行政の解釈が出されています。

同じ通達で、労働基準法の各条文の解釈をするにあたり、基本観念として常に考慮されなければならないとしています。

第1項にある「人たるに値する生活」とはどういう生活でしょうか。

やはり通達があり、本人と標準家族の生活をも含めて考えるものとされています。

この法律が成立、施行となったのは第二次大戦後間もない昭和22年です。

世の中全体が貧しく明治、大正、昭和の時代からの劣悪な労働環境がまだ残っていた時代ですから、憲法第25条(注1.)第27条(注2.)にリンクする条文です。

憲法第25条 ①すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。

         ②国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障、及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。

憲法第27条 ①すべて国民は勤労の権利を有し、義務を負う。

         ②賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準は、法律でこれを定める。以下略

 

労働基準法が成立した頃は、「人たるに値する生活」をしていない人がまだまだ目についた時代だったと思います。

「人たるに値する生活」というのは、その時代の社会経済情勢などにより大きく変わると思いますが、少なくとも家族ともども衣食住が一応充たされるものと考えられます。

今日、朝の情報番組で製造業の派遣を切られた21歳の青年が、介護職に移って頑張っているというような例を放送していました。

ニコニコして穏やかそうな青年で、正社員として長く働けるところがいいからと介護の現場に入ったそうですが、最近では少しづつやりがいも感じているそうです。

 

実は、彼にはまだ赤ちゃんのお子さんと専業主婦の奥さんという扶養家族がいます。派遣社員だった頃の月収は手取り18万円余りだったそうですが、介護職に移ってからは手取り15万円ちょっとだそうです。

家賃が5万数千円とのことですから、使えるお金は10万円足らずということですよね。それでも若い奥さんは、

「彼が頑張って働いてくれたお金なので、大事に使いたいと思います」

とにこやかに語っていました。

もしかしてやらせ?と思ってしまうぐらい健気な若い夫婦に、ちょっぴり涙が出てしまいました。

 これって「人たるに値する生活」と言えるのか?

赤ちゃんは丸々としてとっても可愛らしかったし、彼らは不幸とは思えないけれど、一生懸命働いて生きているんだから、もう少し金銭的に恵まれてもいいんじゃないかなあと思いました。

 

介護職に限らず、「ワーキングプア」などという状態は「人たるに値する生活」とはとても言えないのではないかと思います。そういう意味で介護職の人の待遇はもっとアップしてほしいし、「派遣」という中間搾取に近いことをして(「派遣」は中間搾取にあたらないという通達がありますが)労働者の取り分が減る制度というのはおかしいと思います。

せっかく法律条文に書かれていることが顧みられず、その精神が生かされないことはとても残念なことだなあと思います。

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