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おばさん社労士の発信基地 きぼうという名の事務所です。

開業してからまる13年「発信する社労士」を目指して「独立独歩」「自主自立」の活動をつづるブログです。

契約社員を正社員に 労組の取り組み

非正規雇用者の斬り捨てという話が多い中、先週、広島電鉄の労働組合が契約社員の全員を正社員にして、賃金も引き上げ正社員と一本化することで会社と合意したということが報道されました。(参照)

団結して労働条件を引き上げ、みんなでよくなろうという労働組合運動の原点を見るようなニュースだと思いますし、高く評価される取り組みだと思います。

この10年ぐらいの間に人件費を減らすために、正社員がどんどん減らされていく中で、非正社員の利益を図ろうとすると正社員の既得権に踏み込まざるを得ないということで、多くの労組は非正規雇用者の労働条件を上げるという活動には踏み込みませんでした。

それらの批判を受けて連合では最近パートタイマーなどの非正規雇用者も労組に加入してもらって、労働条件を引き上げるというような取り組みを始めているようで、連合のHPには、それらの労組の事例がいろいろと出ています。

新聞の情報だと広島電鉄の従業員は約1200人となっていますが、連合のHPでは、1700人となっていてちょっと古い情報のようですね。

古いといえば、広島電鉄の労組のHPも昨年の8月から更新されていなくて、今般報道されていることについても書かれていませんでした。

連合のHPの方の記事を見ると、契約社員というのは1年契約を更新して、3年経過後に登用試験に合格すると「正社員Ⅱ」になり雇用期間は無期限になるけれど、労働条件は契約社員と同じということだったらしいです。

その他に再雇用で66歳まで雇用されるシニアM、アルバイト・パートなども混在しています。

 

会社が2001年以降バス、電車の乗務員の採用に契約社員制度を導入した時、労組は安全面からも組織化が必要としてユニオンショップ制(注1)を前提に契約社員導入を了承します。シニアM制度を導入した時にオープンショップ制としたため、職場がギクシャクしたという反省からです。

注1.ユニオンショップ制 社員になるなら必ず労働組合に加入しなければならない。対してオープンショップ制はそのような制約がなく加入が自由。

3年経過後に「正社員Ⅱ」になるという前述の制度は、契約社員制度導入後の翌年に労組が会社と交渉して得た制度です。

労組というのは組合員の労働条件を向上させる目的がありますから、正社員だけではなく、組合員である契約社員の労働条件引き上げも視野に入れるわけです。賃金制度の一本化や全員正社員化というのは、当然の帰結なのかもしれません。ユニオンショップ制をとり、全員が組合に加入したということが大きかったと思います。

それらは一朝一夕にできたことではなく、長い道のりがあったのですね。

 

新聞報道によると、契約社員は何年勤めても昇給がなく賃金の平均で5万円ぐらいの差があったということですが、連合のHPでは、勤続10年未満の正社員より契約社員の方が年収が高かったため、勤続年数の浅い社員に不満があったとありました。多くの社員がいる企業では社員間の利害調整というのは、なかなか難しいのですね。

一本化したためにベテラン社員の賃金は月額5~6万円下がるということですが、調整給の支給と定年延長などで利害の均衡を図ったということが報道されています。

 

会社としては乗務員の勤労意欲が高まり、より安全な運行が確保できるとして合意に至ったということです。乗客の安全が大事という特殊な事情もあるでしょうが、会社にとって大切なのは何かということを考えれば自然な選択と思われます。

一般的に経営者は利益を第一に考えがちだと思いますが、社員が意欲を持って働くにはどうしたらいいかという視点を、もっと強く持ってもよいと思いますし、今般の広島電鉄はその好例なのかなと思いました。

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