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おばさん社労士の発信基地 きぼうという名の事務所です。

開業してからまる14年「発信する社労士」を目指して「独立独歩」「自主自立」の活動をつづるブログです。

労働基準法再読(9)公民権行使の保障

さて、ちょっと間があきましたが、労働基準法再読です。

今日は、来月から裁判員制度も始まりますので公民権行使の保障(第7条注1)についてみてみましょう。

注1.労働基準法第7条 使用者は、労働者が労働時間中に、選挙権その他の公民としての権利を行使し、又は公の職務を執行するために必要な時間を請求した場合においては、拒んではならない。但し、権利の行使又は公の職務を執行に妨げがない限り、請求された時刻を変更することができる。

労働基準法では、労働者が勤務時間中に公民としての権利を行使することを認め、使用者にはそれをしない場合の罰則も6か月以下の懲役、又は30万円以下の罰金と定めています。

使用者には但書で公民権行使に支障がなければ時刻の変更はしてもよいということになっています。

一般的に労働者は昼間のかなり長い時間勤務により拘束されますから、選挙権などの権利を行使できなくなる可能性があります。そのようなことのないように権利を保障した条文となっています。

公民としての権利の例は通達があって、

①法令に根拠を有する公職の選挙権及び被選挙権(他の候補者のための選挙運動は含まない)

②最高裁判所裁判官の国民審査

③地方公共団体の住民投票

④憲法改正の国民投票

⑤地方自治法による住民の直接投票

などが挙げられています。

公の職務には衆議院議員、労働委員会の委員、裁判の証人などがあり、来月から開始となる裁判員も当然含まれます。

なお、裁判員制度については法務省の作ったサイトがとてもわかりやすく書かれていますので、興味のある方はご覧ください。(参照)

 

最も機会として多いのは選挙だと思いますが、社員が会社に勤務時間中に選挙に行かせてくださいと言った場合に、会社側が

「選挙は朝から夜までやってるんだから会社に来る前か仕事が終わってから行ってよ」

と言えるでしょうか。

条文ではその権利行使に差し支えなければ時刻を変更させられると書いてあるように読めます。しかし、「労働時間中に」請求できるという文言がありますから、「労働時間外に行きなさい」ということは違法となります。

また、就業規則で労働時間外に行くと規定していた場合でも、それを命令することは違法であるとの通達も出ています。

 

裁判などで問題となるのは、比較的短時間ですむ選挙などと違い、労働者自身が議員などの公職についたために長時間にわたり労働契約上の義務を果たせなくなる場合です。

会社の許可なく市会議員に立候補して当選したため、休職の取扱にしてほしいと申し出た労働者に対して、就業規則上に会社の承認なく公職に就いた場合は懲戒解雇にすると規定してあることを理由に、懲戒解雇にした事例では、そのような就業規則上の条項は労基法7条違反であり、従って懲戒解雇も無効であるとした判例があります。(十和田電鉄事件最判昭38.6.21)

このような就業規則の条項は公職の就任を使用者の承認にかかわらせ、違反した場合に制裁としての懲戒解雇にするということで、労基法7条の趣旨に反するとされたものです。

 

この裁判では、業務の遂行を著しく阻害するおそれのある場合でも、普通解雇にするなら別として、というような言い回しがされていますので、懲戒解雇としたことを無効だとしているようで、普通解雇なら許されると考えているようです。

 その後の判例でも公職に就任したこと自体を解雇事由とすることは許されないが、それにより著しく業務に支障が出る場合は普通解雇も有効とした事例(社会新報社事件浦和地裁判昭55.3.7)などがあります。

この時間を有給にするか無給にするかは労基法で規定がありません。会社と労働者間の契約の問題ということになり、就業規則などでしっかりと規定するべき問題だと思います。

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