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おばさん社労士の発信基地 きぼうという名の事務所です。

開業してからまる13年「発信する社労士」を目指して「独立独歩」「自主自立」の活動をつづるブログです。

新型インフルで自宅待機 賃金は?

正体不明のものというのは人の恐怖心を倍増させますね。

お化け屋敷で冷たいものに顔をなでられた時、それが単なる濡れタオルであってもそれを知らなければ怖がりの私なんか「きゃあーっ」となります。

巷で話題の新型インフルエンザも、新しいウィルスというだけで何やら恐ろしげに思えてきます。

でも、最近では弱毒性できちんと受診して適切に対応すればそれほど重症化することはないということがわかってきたので、油断は禁物でしょうが一安心だと思います。

先日、会社員の知り合いと話をしていましたら、海外旅行などから帰国した社員は10日間出勤停止という措置をとっているという話を聞きました。

社員が1000人以上の大企業なので、そういうこともできるのかなと思いますが、その間の給料はどうなるの?と聞かれ「えっと、どうだったけか」と一瞬考えてしまいました。

労働基準法では「使用者の責に帰すべき事由による休業」の場合は使用者が平均賃金の6割を支払わなければならないと規定されています。(第26条)

当初は「労働者の責に帰することのできない事由」による休業の最低保障を図るという構想があったそうですが、不可抗力の場合まで使用者に責任を負わせるのは適当ではないということになり、「使用者の責に帰すべき事由」のある時だけ、責任を負わせるという限定的なものになったということです。

「使用者の責に帰すべき事由」ですから、天災などの不可抗力は含まれませんが、経営上の理由による休業は含まれます。

最近では、不景気で受注が減ったための休業や、新規採用者を自宅待機させるなどの場合がそれにあたります。親会社からの資材提供が滞って休業せざるを得ない下請会社も休業手当ての支払義務があります。

 

厚生労働省労働基準局で出している「労働基準法解釈総覧」には、問いに答える形でいろいろな通達などが掲載されています。

その中に労働安全衛生法第66条による健康診断の結果、休業を命じた場合には使用者の責にはあたらないので、労働しない時間の賃金は支払わなくてよいという通達があります。

労働安全衛生法66条とは労働者に対する健康診断の規定です。この健康診断で業務に耐えられないような疾病が見つかったとか、伝染性の疾患が見つかったような場合を言っているのだと思いますが、使用者の安全配慮義務にも関わってくるので、そのような場合は、やはり医師の指導のもとに必要があれば休業させるということになるのだと思います。

 

就業規則で、社員本人や家族に伝染性の病気が疑われる時には届け出るとか、就業を禁止するというような項目を作っている会社も多いのではないかと思います。もし、作っていなかったら当事務所でお作りします。(ブログでもできる営業活動)

その場合は、使用者に責任のある休業とは言えないので、「ノーワーク、ノーペイ」の原則が適用されて無給ということになるし、そのような措置がとられても違法ではないと思います。もちろん、有給にするか無給にするかは会社の裁量の範囲内のことと思います。

トラブル防止のためにはしっかりと規定を作って社員に周知しておくことが大事ですね。

 

前述の「海外から帰国したら10日間出勤停止」というのも、社内規程などで定めがあれば別ですが、無給とされても文句はいえないのかなあという気がします。でも、健康診断で異常があっての休業なら、健康保険の傷病手当金の支給がありますが、病気かどうかわからない状態だとそれもないわけですから、労働者側にとっては痛い休業ということになってしまいますよね。

労働者側としては、働いて賃金を得る権利を奪われたのだから使用者側の権利の濫用だという余地があるかなとも思いますが、公共の福祉のためのやむを得ない措置と解釈することもできるし、ちょっと難しいかなあと思います。

現在、もう少しゆるやかに考えてもいいのではないかという意見も出ていますが、まだまだ社会生活に影響を及ぼしそうで、なかなか厄介な状態になってしまったなあと思います。

〔今日の参考文献〕 菅野和夫 「労働法第7版補正二版」P215~216

             労働省労働基準局編「労働基準法解釈総覧」P256~261

〔管理人注〕この記事を書いた後、所属する研究会で同様のことが話題となり再度勉強し直しました。結論から言うと、インフルエンザにかかっていることがはっきりしている場合や、行政官庁から隔離を指導された場合は無給としてもよいが、会社独自の判断で念のため休業させるような場合は、会社都合による休業と考えて休業手当て(平均賃金の6割)を支払うのが妥当であるということです。

労働安全衛生法、並びに厚生労働省令では「疾病にかかったもの」としているため、まだ病気になっていない人を念のため休業させる場合の法的根拠が明確ではないので、そのような場合に無給とするのは妥当ではないであろうという結論を出しました。

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