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おばさん社労士の発信基地 きぼうという名の事務所です。

開業してからまる14年「発信する社労士」を目指して「独立独歩」「自主自立」の活動をつづるブログです。

労働基準法再読(10)労働者の定義

労働基準法は労働者の保護を図るために労働条件の最低ラインを定めた法律です。

労働契約とは労働者が労働をして使用者がそれに見合った賃金を支払うという契約ですが、本来「契約」とはお互いに対等な市民として自由に条件などを決めて結ばれるべきものです。

しかし、「雇い、雇われ」という関係はどうしても対等な関係とはなり得ず、往々にして労働者側が不利となります。「契約自由の原則」に任せていたら労働条件がどんどん悪くなる可能性があります。

それを防ぐ意味で労働条件の最低の基準を決めたわけですが、保護の対象となるのは「労働者」です。ですから「労働者」でない人となれば、労働基準法の適用対象外の人ということになり、労働者であるのかないのかは結構重要なポイントとなります。

労働基準法第9条にその定義があります。

〔労働基準法第9条〕この法律で、「労働者」とは、職業の種類を問わず、事業又は事務所(以下「事業」という。)に使用される者で、賃金を支払われる者をいう。

イメージとしては「雇われて働いて賃金を得ている人」というような感じでよいと思いますが、ひとたび「労働者ではない」ということになると、労働基準法にある労働時間や休憩、休日、賃金、その他の労働条件、労働災害の補償なども対象外になりますから、労働者性を争う裁判例などもありますし、行政の解釈もいろいろ出されています。

グレーゾーンの基本的考え方としては、「使用従属性」というのがキーワードです。責任や権限がない又はその範囲が狭い、労働時間なども管理されているとなれば労働者だと判断される可能性が高くなります。

みかけの契約書が「業務委託契約」、「業務請負契約」となっていても実態で判断されます。

 

同居の親族だけで行っている事業所はこの法律の適用対象外なので、事業主さんの配偶者や同居の息子さん、娘さんなどが社員として働いていても労働基準法は適用されません。しかし、他人の従業員がいてその人と全く同じ条件で働いている場合、配偶者は事業主と全く利害関係が一致するので労働者とはなりませんが、娘さん、息子さんは労働者と認められる可能性もあります。個別に実態をみて判断するということになります。

厚生労働省労働基準局編「労働基準法 解釈総覧」に出ている例を見てみましょう。

〔新聞配達員と店主の関係〕 配達部数に応じて報酬を与えているのだから請負関係では?という質問に対して、それは単に支払形態が請負制となっているだけで、一般に販売店と配達人の間には使用従属関係があるから、配達人も「労働者」であるとしています。

〔生命保険の外交員〕 委任による保険外務員と労働契約による募集職員に区別して後者が労働者となる。

〔法人の重役〕 工場長、部長などであっても業務執行権又は代表権を持たないで賃金を受けている場合には、その限りにおいて労働者である。

競輪選手は労働者ではない、請負契約によらず雇用契約により使用従属関係にある大工は労働者。

学生の実習は労働者とはならない。等、等、いろいろと出ています。

労働者でないとなれば、労働災害のときの補償や有給休暇や割増賃金や、その他もろもろの権利がなくなるわけですから、やはり労働者なのかどうかは大事な問題だと思います。

 

最近、「在宅ワーカー」という働き方が増えているといいますが、以前からある「内職」同様、自分の好きな時間に自分の裁量で仕事をするということで、労働基準法にいう労働者とはならないと思います。そうなってくると最低賃金法なども適用対象外となり、スキルのある人はスキルを武器に自分の時間を有効に使って働くことができるでしょうが、スキルがないと安くこき使われるだけになってしまわないか、ちょっと心配です。

労働法にある「労働者」には様々な保護が与えられていますから、どういう働き方をするのか選択するときにも自分が「労働者」として働くのかそうでないのか、考える材料にするとよいと思います。

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