FC2ブログ

おばさん社労士の発信基地 きぼうという名の事務所です。

開業してからまる13年「発信する社労士」を目指して「独立独歩」「自主自立」の活動をつづるブログです。

裁判員制度 労務管理上の問題点(1)

裁判員制度が始動し、私の地元のさいたま地裁でも昨日から2例目の裁判が始まったということで、メディアでも盛んに報道されています。

先週、私の所属する自主研究会でも裁判員制度に関連する労務管理についての原稿を提出した会員がいて、そのことでいろいろと話をしました。

裁判員というのは労働基準法7条(注1)に言うところの「公の職務」にあたることについては争いのないところです。ですから、社員が裁判員になり休暇をほしいと届出た場合、会社はそれを拒むことはできません。

条文では「時刻を変更することができる」とありますが、現実には裁判の時間と普通の会社の勤務時間はかぶっている場合がほとんどでしょうから、休暇を与えるという話になるのだと思います。

〔注1.〕労働基準法第7条 使用者は労働者が労働時間中に、選挙その他公民としての権利を行使し、又は公の職務を執行するために必要な時間を請求した場合においては、拒んではならない。但し、権利の行使又は公の職務の執行に妨げがない限り、請求された時刻を変更することができる。

休暇というのは就業規則に必ず記載しなければならない事項なので、特別休暇制度などを作って、社内規定をしっかり決めておくことが望ましいでしょう。

この休暇を有給にするか無給にするかは特に法律では決まりがないので、会社の就業規則等で定めることとなります。

裁判員には日当が支払われるとのことですので、余裕のない中小企業などは無給とするところが多いかもしれません。

その場合に、消化しきれない有給休暇をたくさん持っているような社員であったら、有給休暇にしてほしいと申し出があるかもしれません。使用者としてはダメとは言えません。社員としては有給休暇であれば100%給料が保障されるわけですから、その方が都合がいいわけです。

 

有給休暇付与にあたり「過去6ヶ月(入社後6ヶ月以後は1年)に8割以上の出勤率」という条件があります。(過去記事参照)

裁判員になって休暇をとった場合、この出勤率に影響があるのでしょうか。

①業務上の負傷による療養のための休業、②産前産後の休業、③育児介護休業法による休業、④有給休暇をとった日、は出勤したとみなすという通達がありますが、その他の休業については列挙がありません。

しかし、法律で決められた正当な権利を行使して休業したことを、労働者側に責任のある一般的な欠勤と同列に扱うのはおかしいという考え方は、判例などでも確立されています。(過去記事参照)

そもそも8割の出勤率を求めるということは「勤務態度の悪い人には有給はなしよ」という立法趣旨と考えられますから、裁判員になって公の職務を果たすために休業した人の出勤率を悪くするような方向に考えるのはおかしいわけです。

というわけで、このような休業については8割を計算する時に、労働義務のない日として全労働日から除外するのが適切であろうと考えることができます。もちろん有給休暇にした場合は出勤したものとみなされます。

そういうこともトラブルにならないように就業規則で規定しておくべき事項でしょう。

裁判員制度では「守秘義務」というのが結構キーワードとなりますが、長くなりますので、続きはまた明日書きます。

〔今日の参考文献〕「労働基準法 上」厚生労働省労働基準局編P554~576

PageTop

コメント


管理者にだけ表示を許可する