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おばさん社労士の発信基地 きぼうという名の事務所です。

開業してからまる13年「発信する社労士」を目指して「独立独歩」「自主自立」の活動をつづるブログです。

労働者を追い詰める?「労働ビッグバン」

政府の規制改革・民間開放推進会議の最終答申の原案が明らかになったとの報道がありました。


WEB上で記事が見つからないのですが、主に派遣労働者を巡る規制の見直しに主眼が置かれているそうです。(朝日新聞朝刊 一面)


①直接雇用申し込み義務の撤廃、②労働者派遣の事前面接解禁、③労組の団体交渉権を一定割合以上の従業員で組織する労組に限定する、など、経営社側に非常に有利な答申となっています。もちろん、これは原案ですから、労働者側の反発などは必至でしょう。今後の議論の行方を見守りたいと思います。


派遣の旨みを知った企業側は、益々甘い汁を絞り出そうとしているのでしょうか。

①の直接雇用申し込みの義務廃止については、経済財政諮問会議でも同じような方向が打ち出されました。同じ派遣先に3年を超えて(製造業については今年度は1年)同一の業務をしている派遣労働者が希望する場合は、労働者を雇い入れるときに優先してその人に雇用の申し込みをしなければならないという規定があります。


それがあるために短期の契約を繰り返し、かえって労働者が不安定な状態におかれているというのが、企業側の言い分です。不安定な状態がよくないからこの規制ができたはずです。企業側も不安定な状態が悪いというのであれば、期間がきたら雇用の申し込みをすればいいのではないでしょうか。そもそも同じ職場で3年も働いているということは、それなりにその職場と相性がいいということではないんでしょうか。


それなら、その派遣先の会社の社員になることは会社にとっても派遣社員本人にとってもいいことだと思うのですが、会社としては正社員よりずっと負担が少なく、正社員とほぼ同等の労働力が得られる「派遣社員」というおいしい労働者を手放したくないのでしょう。それを代弁したのが今回の答申だと思われます。


②の労働者派遣の事前面接解禁と言われても意味がわからない方がいらっしゃるかもしれません。


そもそも、派遣というのは労働者を特定するものではなく、労働力を提供するものという考え方です。ですから、派遣を希望する派遣先会社は派遣社員を特定して「この人を派遣してほしい」ということは、法律上ではできません。(紹介予定派遣という一部の例外がありますが)その場合には職業紹介事業(大臣の許可または届出が必要)となり、直接労働者と雇用契約を結ぶことになってしまいます。


今までは、仕事のスキルに応じて派遣社員を振り分けていたわけですが、事前面接解禁などとなったら、派遣先は派遣社員をあたかも自社の社員を採用するのと同じように選別できるわけです。しかも正社員ではないのですから負担はずっと少なくてすみます。


正社員になりたいのになれなくて派遣社員に甘んじている人がほとんどなのに、派遣という仕事すらあぶれてしまう人が出てくるかもしれません。どう見ても経営者側に都合がいいように変えようとしているとしか私には思えません。


③の労組のことについてもそうですが、企業側はなりふりかまわず自分達の利益を得ようとしているように見えます。グローバルな競争の中で生き残るためという大義名分があるようですが、人件費については物価の全然違う中国や他のアジア諸国などと同じ土俵で戦うのはもともと無理があると思うのです。


「労働ビッグバン」というのなら、もっと長期的な広い視野で考えてほしいと思います。経営者側も、労働者の痛みに少しは寄り添うという視点もあっていいのではないかと思います。


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