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おばさん社労士の発信基地 きぼうという名の事務所です。

開業してからまる14年「発信する社労士」を目指して「独立独歩」「自主自立」の活動をつづるブログです。

曖昧な労働条件はトラブルのもと

親しい友人からちょっと教えてと電話がありました。

友人の知り合いのAさんはある資格を生かして個人で事業をしています。

Aさんの知り合いXさんに頼んで週3~4日ほど来てもらって事務処理などをやってもらっています。

賃金の他に交通費を出していますが、週4日だと定期代の方が安くなり、週3日だとそうではないので、定期を買わずに実費で交通費を支給していました。

最近、交通費が片道90円少なく支給されていたことがわかり、やはりその分はまとめて支払わなくてはいけないのか? その場合、Xさんに仕事を頼んでから7年たつけれど7年分支払わなくてはいけないのか? というような質問です。

労働法では交通費を支払えとはどこにも書いていません。

労働契約はあくまでも「契約関係」ですから、お互いに話し合って納得していれば交通費はなしですということでも法的には問題ありません。

ですから、必ずしも事業主が交通費を負担する必要はないわけですが、今時交通費は自分で負担してくださいなんて求人を出しても、なかなか応募者はいないかもしれませんね。普通は事業主側が出すのが常識でしょというのが、世間の人の考え方ではないかと思います。

労働契約、就業規則等で決められていて通勤手当として毎月きちんと支払っていれば、これは賃金の一部と考えられますから、未払い分が発覚した場合は最低限時効にかからない2年間分を支払うということになると思います。6ヶ月分の定期代を支払うような場合にも月割にして1月分がその月の賃金の一部となります。

 

友人の話によると、AさんとXさんの間には労働契約など労働条件を書面にまとめたものは何もなく、通勤費にしても定期代を支払うのか、来たときの分をその都度支払うのか、ということも曖昧にしているようです。

Aさんの事業所は都内にありますが、Xさんの自宅は群馬県にあり時には新幹線を使って通勤することもあったそうです。さすがに新幹線の分は出せないけれど、そんなに交通費がかかるのは気の毒かなということで、何となく実費で支給していたとのことです。

本来、賃金というのは賃金、手当て、給料等名称に関係なく「労働の対償」として使用者が支払うものとされています(労基法11条)

ですから、実費弁償的な出張旅費となると賃金とはみなさなくなります。

Aさんはかなりアバウトにやっていたようですが、7年間ずっと続けてきたということで、「通勤手当」として支払っていたという解釈が成り立つのではないかと思います。そうすると、やはり足りなかった分は未払い扱いとなるのかなという気がします。Xさんの方が「別にそのぐらいの額だったら私も気がつかなかったんだし、支払わなくてもいいですよ」と言えば、Xさんの「債権放棄」となりAさんは払わなくてもよくなりますが、友人の話だとXさんは払ってほしいらしいということなので、Aさんは払わざるを得ないのかなあというところだと思います。

 

このようなトラブルを防ぐためには、交通費をどうするのか最初に取り決め書面にするということがまず第一でしょう。

就業規則のある会社でしたら規則にしっかりと規定する。通勤経路にしても「合理的で最も経済的な経路にする」というような規定を設ける、また、上限額を設けるなども通常行われていることです。

とかく、知り合いに仕事を手伝ってもらうとなると条件が曖昧になりがちですが、「淡々と事務的にきちんと労働条件を決めて書面にするというのが一番いいのよ」というのが友人に話した私の結論です。

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