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おばさん社労士の発信基地 きぼうという名の事務所です。

開業してからまる13年「発信する社労士」を目指して「独立独歩」「自主自立」の活動をつづるブログです。

労働基準法再読(14)賃金とは?

昨日、賃金についてちょっと書きましたが、久し振りに「労働基準法再読」で賃金については労基法でどのように定義されているかを見てみたいと思います。

労働基準法では賃金を名称に関係なく「労働の対償」として使用者が労働者に支払うすべてのものと規定しています。(第11条)

〔労働基準法第11条〕この法律で賃金とは、賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのものをいう。

賃金は労働者にとっては最も重要な労働条件と言ってもいいものですから、労働契約を結ぶ時には書面でその「決定、計算、支払の方法、締め切り、支払の時期」を明示することも義務付けられています。(労基法第15条)

「労働の対償」とは労働に従事することにより得られる報酬というような意味だと思われます。

従って、結婚祝い金や病気見舞い金など、「任意恩恵的」なものは賃金ではないと考えられますが、労働協約(注1.)、就業規則などによりあらかじめ支給条件が明確にされ、それに従い使用者が支払い義務を負っている場合には、労働の対償だと考え、賃金として取り扱うようにという通達が出ていて、実務的にはそのように扱われています。

〔注1.〕使用者と労働組合の間で結ばれる労働条件その他についての協定。両当事者が署名押印して文書にしたもの。

この「任意恩恵的」な給付について、社会保険の標準報酬月額を決めるときの給料には入れないということになっていて、労働法と社会保険関係とでちょっと扱いが違います。

その他に賃金にならないものとしては、福利厚生のための住宅貸与とかレクリエーション施設の利用などは「労働の対償」ではないので、賃金とはなりません。

また、作業服、出張旅費、交際費、消耗品費など企業が業務遂行のために負担するべき費用は賃金とはなりません。

「家族手当」や「住宅手当」は一見労働の対償ではないように思われますが、賃金規程で制度化されている限り賃金となります。名称に関係なく労働者が働くことにより得ることができる金銭と考えるのだと思います。

 

何が賃金で何が賃金でないのかというのはよく問題となるらしく、いろいろな通達が出ています。

退職金や賞与などについて規程がなく全く使用者の裁量に任されていれば「任意恩恵的」なものとして賃金とはなりませんが、あらかじめ支給方法が明確になっていれば賃金となります。

社宅の賃貸料のように労働者から費用を徴収する場合、実際の費用の3分の1以下である場合にはその差額が賃金とされます。

チップについては賃金ではありませんが、もらったチップを回収して後で平等に分ける場合は賃金となります。

賃金の額により税金や雇用保険料、社会保険料なども変わりますし、休業補償をする時の平均賃金の算出にも関係してきますので、何が賃金で何が賃金でないのかというのは案外重要な問題となるときがあります。

 

最近あまり聞きませんが、「ストックオプション制度」について賃金になるかが問題となったことがあります。

「ストックオプション」とは会社の役員や従業員が一定期間内にあらかじめ決められた価格で自社株を購入できる権利のことで、株価が上がれば、社員が利益を得られることから賞与として利用する会社があります。ベンチャー企業や外資系で導入されていることが多いようです。

これについては、平成9年にストックオプションで得られる利益は労働の対償ではなく賃金ではないと通達が出ていますが、税法上最初一時所得として扱ったいたストックオプションによる利益を「給与所得」として扱うようになったことについて(一時所得とした方が税率が安い)裁判で争われた例もあります。労働法的には先の通達により賃金ではないとされています。

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