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おばさん社労士の発信基地 きぼうという名の事務所です。

開業してからまる13年「発信する社労士」を目指して「独立独歩」「自主自立」の活動をつづるブログです。

続労働者を追い詰める?「労働ビッグバン」

昨日、規制改革会議の答申原案で、労組の団体交渉権を一定割合以上の組織率の労組に限るというようなものが出されたと報道されました。


昨日の記事でもちょっと触れましたが、昨日は主に派遣について書いたので、今日あらためて労組の件を書きたいと思います。


ここで、労働組合についての歴史について振り返ってみたいと思います。

資本主義社会の雇用はあくまでも自由な契約により成立します。しかし、原料、機械、資金などを持っている雇い主側とそれらを持たず労働力を売るしかない労働者側とでは、なかなか対等な立場とはなり得ません。労働力という特殊な商品は、時期を見て有利なときに売るとか、販売数を制限するなどということができないからです。


これらは労働者相互の競争により、さらに拍車がかかります。産業革命後の資本主義初期の労働者階級の状態は、一日16時間から18時間働くのが当たり前、出産直後の女性や児童でさえ同じような状況だったと言われます。それでも労働者階級の人たちは、「持たざる者」であったというだけで、病気、貧困、堕落の渦巻く中に住むしかなかったのです。


やがて、労働者たちはどん底から這い上がるためには団結するしかないということに思い至るようになります。最初は病気や失業の時などの互助会的なものでしたが、使用者に対して積極的に賃上げなどを要求する戦闘的集団へと変貌していったのです。


使用者の利益を代弁する当局側は弾圧により取り締まりますが、生きるための本能に支えられた労働運動を根絶やしにすることはできませんでした。使用者側も労働者と取引をして納得して働いてもらう方が得策だと気づき、国家も社会主義になるより、労働運動を合法的に認めて一定の規制を加えた方がよいことを理解するのです。


それから今日までの間、労働運動により労働保護法が生まれ、更なる運動により、より良い労働条件が生まれるという関係性を持ってきました。(以上については、外尾健一著「労働法入門」有斐閣双書 1~9ページを参考にしました)


日本国憲法では、勤労者の団結権とともに団体交渉権も保障されています。(第28条)


さて、前述の答申についてですが、一定割合の組織率とはどのぐらいを予定しているのか明らかではありません。今、労働組合の組織率は20%を切り、19%台です。ロシア、東欧などの社会主義国家の崩壊や硬直化した既得権益集団になったと言われる労組自身の問題、若い人の個人主義的傾向など、理由はいろいろあるのでしょう。


もし、アメリカ並みに過半数の組織率の労組のみに団体交渉権を与えるとなったら、ほとんど多くの労働者は団体交渉ができなくなってしまいます。憲法との整合性はどうなるのでしょうか。また、今までは、派遣、アルバイト、パートなど労組に入っていない労働者が、駆け込み寺的に頼りにした地域ユニオンなどにも交渉権がなくなってしまいます。


地域ユニオンなどに苦しめられた経営者側は万々歳でしょうが、非正規雇用者がますます孤立化してしまうのではないかと心配です。


この件については今後注目して見ていきたいと思います。

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コメント


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しろたぬきです。「おばさん社労士」は無理なので「鈴木さん」と呼ばせていただきます^^;
最近のNHKの番組で年金に加え生活保護を受けなければ生きていけない方をみました。国が社会補償費抑制のために生活保護の基準を下げているというものでした。
国の議論の中に「ナショナルミニマム」(人間として生きていく上で必要な最低年間所得額)が抜け落ちているとのコメントをゲストの大学教授が言っていました。
今回の記事を読んでいても思いましたが、最近の国はすべて場当たり的で「将来の国家像」というものがないようにおもいます。自分の将来・家族の将来の事を考えるとどうにかならないものかと思ってしまいます。

しろたぬき | URL | 2006年12月07日(Thu)23:50 [EDIT]


希望を持ちましょう!

しろたぬきさん
こんにちわ。

貧困というのはとても重いテーマですね。いつの時代も貧困はあるのですが、それが固定化して抜け出せなくなるというのはあってはいけないことですよね。私たちにできることは、まずその問題を自分のこととして考えることかなと思います。

しろたぬきさんは奥様がいて、2人のお子さんにも恵まれていらっしゃるとのことですから、今の幸せな状況を大切になさってください。
お子さんたちの将来に希望を持ちましょう。

私も自分にできることってなんだろうと考え続けるつもりです。コメントありがとうございます。

おばさん社労士 | URL | 2006年12月08日(Fri)11:00 [EDIT]