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おばさん社労士の発信基地 きぼうという名の事務所です。

開業してからまる13年「発信する社労士」を目指して「独立独歩」「自主自立」の活動をつづるブログです。

「過労」に対する使用者責任

先週、鳥取大学の大学院生の医師が過労による居眠り運転で交通事故死したのは、「演習」として恒常的な長時間労働をさせた大学に責任があるとした鳥取地裁の判決がありました。

亡くなった大学院生の医師は、演習ということで無給で大学病院での診療にあたっていたということで、雇用契約をしていたわけではなく、本来ならば労働法的な「労働者」にはあたらないはずですが、実態は勤務医と大きく変わらなかったため労働者性を認め、「雇用主」としての大学側の安全配慮義務違反を認めたものです。

その勤務の実態は、夜間に当直や緊急手術に従事した後、翌朝から通常業務につくこともしばしばで、その合間にアルバイト先の診療もこなしていたそうです。

大学側は「アルバイトについては本人が希望してやっていたのだし、大学側の指揮監督権はない」と主張しましたが、

「大学側が時間や内容を把握しており、過労状態に陥らないよう適切な処置を構ずべきことは当然」と退けられたと報道されています。

医師の過重労働は以前から問題になっていましたが、なかなか改善されていません。

2003年3月に事故が起きたそうですが、事故後にお母さんが大学院の終了証を受け取りに行った時に、「医師は忙しいのが当たり前」と病院関係者に言い放たれ、「このままでは同じことが起きかねない」と提訴を決意したそうです。

普通の人が裁判を起こそうとするのは、時間やお金だけではなくやはり大変なエネルギーを要します。突き動かされるような何かがないとなかなかそこまでは踏み切れないものだと思いますが、大学関係者の対応が違ったものであったら、裁判まではいかなかったのかもしれません。

この事故後2004年度から研修医はアルバイトをしないですむように一定の収入を支払う制度となりましたが、大学院生の医師は半数が大学側と雇用契約をしていないということです。

 

さて、大学院生の医師という労働者性についてグレーゾーンにある人も実態で労働者と判断され、過労について使用者の責任を認められたわけですから、雇用契約をしている通常の会社員などに対しては、当然使用者もその勤務状態に配慮する義務があることになります。

それらは過重労働からうつ病になった場合の労災が認められたり、損害賠償が認められたりとされてきましたが、出勤中の交通事故死まで責任を負わされたのは初めてだと思います。

この事案では、事故前12週間の時間外業務が週平均40時間を超え、事故当日も24時間ほぼ徹夜勤務の後派遣先の病院に向かう途中でトラックと衝突したそうで、かなり過酷な勤務実態だし、運転ができるような状態でもなかったのではないかと思われます。

 

それらをわかっていながら何の対策も講じなかったとして安全配慮義務違反を問われたものと思いますが、長時間労働が恒常的になっている会社は、もしマイカー通勤などを認めているとしたら、かなり気をつけなければいけないと思います。

車の場合、第三者に被害を及ぼす可能性もあり、使用者としては十分注意しなければいけない問題だと思います。

就業規則で、マイカー通勤規程などを作り、しっかりとした任意保険に入るのは当たり前として、場合によっては、一定の残業時間を超えた場合は運転しないなどの取り決めが必要になるかもしれません。

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