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おばさん社労士の発信基地 きぼうという名の事務所です。

開業してからまる13年「発信する社労士」を目指して「独立独歩」「自主自立」の活動をつづるブログです。

拡大するか?使用者の安全配慮義務

昨日、使用者の安全配慮義務の関連記事を書きました。

安全配慮義務については昨年3月から施行の労働契約法に明文化され、(過去記事参照)私としては事業主さんにかなり意識していただきたい条文なのですが、中小企業では、労働契約法さえあまり興味がない事業主さんが多いというのが実情だと思います。

しかし、現実には昨日の例にもあるように裁判などの場になると、かなり事業主側に厳しい判決が出ています。それらの判例をもとに労働契約法の条文が作成されたわけですが、今後は法律条文に書かれたということで安全配慮義務の内容もいろいろ出てくるのではないかと私は考えています。

実際、昨日の記事なども過労が引き金となって起きた交通事故の責任も問われたわけですから。

昨日の例でいえば大学側(雇用主)が過重労働にならないように、気をつけていれば(安全配慮義務を果たしていれば)交通事故は起きなかっただろうという、相当因果関係を認めたものだと思われます。

過重労働とは違いますが、以前過去記事にした「喫煙時間は労働時間?」(参照)に関連していろいろ調べていた時に、受動喫煙の損害について会社を訴え、700万円で和解した例などもあることがわかりました。

その事例は建設資材会社に勤める男性Aさんが提訴したもので、2007年1月に入社した当時、事務所では社員が自席で喫煙していました。

Aさんは入社直後から頭痛などに悩まされ分煙対策を要望しましたが、会社側は応じず11月にAさんを解雇しました。

Aさんは不当解雇だとして提訴したところ、直後に会社は分煙措置をとった上で解雇を撤回したため、Aさんは職場復帰しました。しかし、不整脈など症状が悪化して化学物質過敏症と診断されました。

Aさんは「受動喫煙防止を義務づけた健康増進法違反」として慰謝料など2300万円の賠償を求めました。会社は職場での受動喫煙とAさんの症状の因果関係は認めませんでしたが、裁判官の出した和解案に双方が応じたと報道されています。

Aさんは退職する予定で労災も申請するそうです。

 

こういう事例をみると、会社側が「安全で快適な職場環境を作る義務がある」ということをもう少し自覚していれば、結果は随分違ったのではないかと思います。健康増進法を問題としていますが、やはり安全配慮義務なども問われてくる事例だと思います。

これからは労働時間の管理から施設、設備などの職場の環境、人間関係などに対する配慮など、幅広い範囲で使用者が目配りしていくことが求められることになるのだろうと思います。

〔管理人注〕この記事を書いた後で、今まで読んでいなかった「健康増進法」に目を通してみましたが、受動喫煙の防止については、第25条にあり、

「学校、体育館、病院、劇場、観覧場、集会場、展示場、百貨店、事務所、官公庁施設、飲食店その他の多数の者が利用する施設を管理する者は、これらを利用する者について、受動喫煙(室内又はこれに準ずる環境において、他人のたばこの煙を吸わされることをいう。)を防止するために必要な措置を講ずるように努めなければならない。」

とあります。「努力義務」なんですね。罰則もありませんし、これを根拠に700万円の和解案というのは金額が高いようにも思います。Aさんの症状が重いとか、会社がAさんの要望を無視したり、不当解雇と思われるようなことをしているというこの事案の個別的な事情によるものではないかと推察されます。

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