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おばさん社労士の発信基地 きぼうという名の事務所です。

開業してからまる13年「発信する社労士」を目指して「独立独歩」「自主自立」の活動をつづるブログです。

労働基準法再読(15)制裁規定の制限

先週、制裁による減給と欠勤による給料控除は違うという記事を書きました。(参照)

補足的に労働基準法の制裁規定を記事にしようと思っていたので、本日書くことに致します。

社員が何か不祥事を起したときに制裁を加える(懲戒という言い方もします)ということは日常的にあると思いますが、会社の好き勝手にできるわけではありません。

就業規則に規定して労働者に周知しておかないとできないというのが、裁判例などでの考え方です。罰を加えるのならその根拠を示してくださいという考え方です。

やり方についても、過去の同様の事例と照らして極端に重くしたりすることは否定されます。また、よほどひどい事例でない限り、軽いものから重いものへと順番にやっていくのが普通で、のっけからいきなり懲戒解雇するというようなことも通常は否定されます。

譴責、減給、出勤停止、懲戒解雇などがあり、労働基準法では減給についてのみ規定があります。(労働基準法第91条)

〔労働基準法第91条〕就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は1回の額が平均賃金の1日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはならない。

過去記事に書いたように、制裁による減給とは原則として実際に働いているのに、その分の賃金を減らされることで、遅刻したり、欠勤したりした時にその分の賃金を減額されることとは違います。

但し、遅刻したら1回〇円控除とか、欠勤したら1日△円控除などと定額にしていた場合、その〇円や△円が現実の賃金より高く設定されている場合には、制裁による減給となりますから、実際の賃金との差額分が労基法91条にある制裁規定の範囲に収まっている必要があります。

以前、私が拝見したある会社の就業規則では、30分に満たない遅刻、早退の時間を常に30分に切上げるとしていました。これは、10分の遅刻でも30分遅刻したのと同じ扱いにされるということですから、本来、10分分の賃金控除であるなら「ノーワーク・ノーペイ」で問題はありませんが、3倍の30分分控除するわけですから、制裁による減給の扱いになります。

 

労働基準法は基本的に全ての労働者に適用されますから、アルバイト、パートなどで一賃金支払期の総額が少ない労働者などで遅刻の多い人がいた場合、総額が10分の1を超える可能性もあるので注意が必要です。

10分の1をみる賃金は控除されて低くなっている現実にもらう賃金です。

制裁による減給とは「原則として」実際に働いているのにその分の賃金を減らされることと書きましたが、同じ職務のままで減俸された場合は、やはり制裁による減給と考えます。ですから、減俸額の範囲は91条の適用を受けます。

降格などにより、職務内容や責任の度合いが変わったための減俸については、制裁による減俸とはなりません。また、昇給を停止するということも実際に賃金額が減らされるわけではないので、91条の適用は受けません。

月給制を日給制に格下げしたために結果的に賃金が減った場合も、賃金支払方法の変更であるので制裁による減給とはみません。

以上の考え方は行政通達により確立されています。

 

服務規律違反などにより「出勤停止」として、その期間中の賃金は支払わないという就業規則上の規定があった場合には、出勤しない=仕事をしていないということから考えても制裁による減給とはされません。但し、異常に長い期間を設定するようなことは「公序良俗」違反とされます。

どういう場合に91条の適用を受けるのか、ややっこしい面もありますので注意が必要です。

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