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おばさん社労士の発信基地 きぼうという名の事務所です。

開業してからまる14年「発信する社労士」を目指して「独立独歩」「自主自立」の活動をつづるブログです。

労使トラブル解決のシステムについて考える

昨日午後、冷たい雨の中、事務所から車で50分ほどの所にある公共施設で開催された講演を聴きに行って来ました。

公共施設と言ってもまだ新しくとても現代的で立派な建物で、さいたま市のはずれの方にあるせいか、土地をゆったりと使っていて広々として、駐車場も余裕があります。

その講演会はある大学の先生を招いて隣接する支部が公開講演会として開催したものです。

この支部は私の所属する支部よりもずっと会員数が多く、毎年、この時期に公開講演会を企画して、他支部にも呼びかけてくれます。

私は昨年も参加させていただきましたが(過去記事参照)、今年は個別労働紛争がテーマだったので、今年も参加させていただいたというわけです。

講師の先生は諸外国の労働紛争の解決システムなどを現場視察などして研究していらして、日本の現状と照らし合わせて、今後のわが国の個別労使紛争の解決策などについて提言していらっしゃいました。

日々の業務に関する勉強で手一杯の私としては、諸外国のことまでとても勉強できませんので、こういう講義はとても興味深いし、今後の社労士の進むべき道についての示唆に富んだ内容だったと思います。

諸外国とは正確には、ドイツ、イギリス、アメリカ、中国で、個別労使紛争の解決システムと現状をレポートしてくださったのですが、ドイツ、イギリスはだいたいヨーロッパの主要国と同じような感じとのことで、欧米の主要国と政治体制の違う中国の現状というようなものが、大雑把に知ることができました。

各国とも個別労使紛争が増加して、労働組合の組織率が下がっているというところは日本と共通点があります。

 

しかし、個別労使紛争の解決システムは大きく違います。英、独の場合は労働紛争専門の裁判所があり、そこで迅速に処理されます。また、アメリカもそうですが、NPOなどの相談組織も活発で、しかも労働者の相談にのるNPOに対して、大企業の財団などから寄付があり、公的資金も含めて活動資金がしっかりとあるそうです。

労組の支援も含めて労働者に対する支援が手厚いのですね。労組やNPOが訴訟費用を負担するということが当たり前に行われているそうです。

特に、企業が労働者側のNPOに寄付をするなんて、日本では考えられませんよねと講師の先生は強調されていました。

確かに、経団連の会長のお膝元の会社で、偽装請負だの派遣切りだのが平気で行われているのですから、かの地とは多分メンタリティが違うんだろうなあと思います。

企業の儲けは社会に還元すべきという気持ちがあちらは強いんでしょうか。「プロティスタンティズムの倫理と資本主義の精神」などの影響なのでしょうか。

 

ひるがえって、日本の現状と未来についても述べられましたが、現状はやはり中途半端だとおっしゃっていました。

現状のあっせんや調停は応じなければそれまでなので、拘束力の強い裁判が必要で、最終的にそれがあるからこそ調停などが生きてくることになるとのことで、なるほどと思いました。

現状でも裁判はできますが、労働専門ではない、立証責任が労働者側にある、証言ではなく書面が重視される、証拠の追加ができないなどの問題点があるといいます。

特に、使用者側が人事記録を持ち開示義務がない以上、労働者側が訴えた内容について証明するのは不可能に近いとおっしゃったことが印象的でした。

確かに、日本の労働者というのはいろいろ不利益を受けているんだなということがよくわかりました。

一つの方策として、少なくとも公的な事業に関わるような企業の経営者には、労働法の研修を義務づける、労働者支援のNPOなどに公的資金も含めての資金面での充実を援助するなどをあげていらっしゃって、特に前者はいいアイディアだなと思いました。

社会保険労務士は諸外国には見られないユニークな存在(韓国には日本の制度をならって労務士制度が作られている)なので、是非今後特定社労士としての仕事も発展させてほしいというようなことをおっしゃっていました。

 

その後、質疑応答も活発に行われて、私にとっては充実した2時間でした。

帰り際にかねてより自主研で懇意にしているその支部の会員から呼び止められ、

「鈴木さん、今日の感想をうちの支部の広報誌に書いてよ」

「えーっ、何であたしが書くのぉ?〇〇さん(他支部の大ベテラン)に書いてもらってくださいよ」

「公開で他支部の人にも来てもらってんだから、うちうちの話じゃつまんないからさ。書いてよ。〇〇さんはご老体だから書くのはちょっとね・・・」

そんなやりとりの末、感想文という宿題を出されてしまいました。やれやれ。 

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