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おばさん社労士の発信基地 きぼうという名の事務所です。

開業してからまる13年「発信する社労士」を目指して「独立独歩」「自主自立」の活動をつづるブログです。

契約社員に対する不合理な差別

 昨日、同一労働、同一賃金に関連する記事を書きましたが、有期契約労働者に対して不合理な差別かどうか判断する基準に責任や権限、その他が入ってきてハードルが高いと書きました。
今日の報道によると、トラック運転手として働く契約社員が正社員と同じ仕事をしているのに各種手当がないこと、賃金格差があることなどについて、期間の定めがあることによる不合理な差別をされているとして訴えた裁判で、大阪高裁が訴えの一部を認めたそうです。
裁判所は、転勤、出向などの面で契約社員と正社員の違いを認め、賃金格差については合理性があるとしたようですが、7種類ある手当のうち、給食、通勤、無事故、作業の四つの手当は、職務内容による直接の差がないとして支払いを命じたと報道されています。
一審では、通勤手当の支払いのみ認められたそうですが、高裁ではさらに拡大しているようです。
給食は、契約社員も食事するのは同じですし、「無事故手当」についても無事故なら出さなきゃおかしいし、「作業手当」というのが詳しくはわかりませんが、トラック運転という作業に対する手当なら、契約社員もトラック運転をしているのですから、出さなきゃおかしいという考え方だと思います。

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労働契約法は「成長」してる

2008 年3月、労働契約法が施行になった頃だったと思いますが、法律制定に関わった法律学者の先生のお話しを拝聴する機会がありました。
労働者側に有利な条項が経営者サイドからの反対により随分削られたというようなお話しがあり、でも、法律ができたことは非常に大きい。今は小さな法律だけれど、今後の動向次第で大きく成長して重要な法律となる可能性もあるというようなことをおっしゃっていました。
その後、2012年に改正され、有期契約の更新を繰り返し通算5年を超える労働者が申し込めば無期契約に変わることができるなど、企業が対応に追われた改正とともに、期間の定めがあることによる不合理な労働条件の差別禁止条項も追加されました(第20条)。
先週、報道された東京地裁の裁判では初めて労働契約法20条が争点となった裁判の結果がでて、やはり、裁判の場に行くと明文化された法律条文は存在感が大きいなと思いました。

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労働条件の不利益変更はよく説明を

 先週、最高裁で、労働条件を不利益に変更する際には、形式的な同意だけではなく、きちんと説明して納得してもらわないと認められないとして高裁に差戻しとなる判決がでました。
いち早く裁判所のHPに判決文がアップされています。(
参照)
信用組合の合併に伴う退職金の支給について争われたものですが、合併に伴い支給基準が変わり計算方法などの条件が悪くなることと、企業年金の還付金等を受け取る場合にはその分を退職金から差し引くなどすることになり、結局退職金が0となってしまった職員が訴えたものです。
判決文の最初の方で、合併に先立ち職員に対する同意書案を社会保険労務士が作成したと書かれていて、興味深かったです。
この社労士の作成した同意書案では、退職金は合併前の水準を保障するとなっていたそうですが、別途構成されていた合併協議会で、さらなる検討を重ねてだんだん条件が悪くなっていったようです。

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法律はじわじわ効いてくる?

自分の仕事の範疇の法律については、日々目配りをしています(のつもりです)。
それに関連する社会の動きなどにも敏感にならざるを得ません。
ちょっと前ですが、昨年の12月に医療法人で育児休業を3か月取得した男性看護士に対して、昇給を認めず、昇格試験も受けさせなかったことについて、違法との最高裁判決が出たと報道がありました。
この医療法人の事件発生当時(2010年9月~12月に育児休業取得)の就業規則では、育児休業を3か月以上取得した場合、翌年度の職能給を昇給させないとする規定があり、それに伴い昇格試験の受験資格も認めなかったもので、この男性は昇給と昇格の機会を奪われてしまいました。
当ブログでも度々書いていますが、育児休業を申し出たり、取得した労働者に対して解雇その他不利益な取り扱い(降格、減給(働かない時間に対する減給は除く)本人の望まない職種変更、嫌がらせ等)は禁止されています。(育児・介護休業法第10条)
労働者側はこれを根拠に訴えたものと思われます。

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ホストの労働者性を認めた裁判雑感

労働基準法をはじめとする「労働法」と呼ばれる法律はたくさんあります。
それらの適用対象となるのは主に使用者と労働者です。
前者は、資本、設備を持ち労働者を選別するため一般的に立場上強く、後者は労働力を提供するしかないために立場上弱いと考えられます。
労働法は弱い立場の労働者の権利を定め、強い立場の使用者に職場環境を整えたり、一定水準の労働条件で働かせることを義務づけています。
ですから、「労働者であるのかないのか」は労働法を見ていくうえで重要なポイントです。
労働者は「会社、事務所、個人商店等で雇われて働き賃金を受けている人」で、使用者は「事業の経営者、経営担当者など」です。
先週、歌舞伎町のホストクラブで働くホストが労働者と認定されて、店側に未払賃金の支払いを命じた裁判について報道されていました。
店側は、完全歩合制でありホストは個人事業主であり労働者ではないと主張したそうですが、裁判では店から指揮監督を受けていた働き方の実態により判断したようです。

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広島中央保健生協事件の判決文を読む

昨年記事にした(過去記事参照)最高裁のマタニティハラスメント裁判ですが、今年に入っていち早く念押し的に厚生労働省が通達を出したりして、妊娠・出産に伴う降格処分は、本人の自由意思による同意と合理的と認められるような特段の事情がない限りは違法との判断基準が確立したかのようにみえます。
一審、二審では、何故「会社の人事の裁量の範囲」と判断したのか気になって、判決文を読みたいと思っていました。
したところ、所属する研究会で私の前にリーダーをしていた有能な仲間の社労士が、地裁、高裁、最高裁と判決文の全文のコピーをとらせてくれました。
それはかれこれ2~3か月前なのですが、なかなかじっくり読む時間がとれなくて、昨日ようやく「一気読み」することができました。
裁判というのは、報道などでは争点となったところのさわりの部分だけが報道されますし、ある政党の誰かさんみたいに判決文の中のほんの一部分だけを取り出して、あたかもそれが一般的に通用する言説であるかのように喧伝することも可能ですから、判決文の全文を入手して読まないと、自分の頭で考えることはできません。

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砂川事件のさわりを読んでみた

最近、昔勉強した憲法関連の書籍を本棚の奥から引っ張り出して読むことが増えました。
「違憲」論争で揺れる国会ですが、政府が集団的自衛権の行使容認の根拠としてもちだしてきたのが、「砂川事件」です。
最初、聞いたときはすごく違和感がありました。集団的自衛権など問題としている判例だったかなー? かすかに残る記憶ではそうではないはず。そのうち、不明を恥じて言わなくなるだろうと思っていましたが、安倍首相までが言っている。
では、判例集で見てみるかと引っ張り出してみました。
裁判というのは、実際の判決文を全部読まないと全貌はつかめません。判例集には結論とそこに至る考え方について、自民党のお歴々がリスペクトしてないらしい「学者」の先生の解説が掲載されていて、それなりの判例の性質や意味がある程度わかるようになっています。
私がよく見るのは、別冊ジュリストの「判例百選」で、このシリーズは20冊ぐらい持っています。
憲法については、ⅠとⅡがあり、砂川事件はⅡの方に掲載されています。

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「通常の労働者と同視すべき短時間労働者」とは?

昨日、記事にしたパートタイマーについての小冊子で「判例なども入れてください」とのご要望があるので、関連判例なども見ています。
最近の判例で初めてパートタイム労働法8条1項(今年4月改正施行前の条文)についてが争点の一つになった判例があります。(ニヤクコーポレーション事件大分地裁判平25.12.10)
もともとは、期間の定めがある有期契約の労働者が契約更新されないことについて、契約更新されないのはおかしいとして地位確認(契約は更新されていないとおかしいので自分は契約が続いているはずとする主張)や更新拒絶に伴う慰謝料などを請求して、それが認められたものです(会社側は控訴)。
請求の中に、正社員と同様な業務をしているのに短時間労働者であるということだけで、賞与額が年間40万円以上、休日が30日を超える格差、退職金は無し(正社員は有)という格差による損害も請求しています。
その根拠となるのが前述の改正前の8条1項で、裁判では労働者の主張がほぼ認められています。

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